聖路加国際大学看護学部への編入を目指す皆さん、こんにちは。
今回は、聖路加国際大学看護学部が実施する学士編入学者選抜試験の「英語」と「小論文」に ついて、過去問の傾向から対策を深掘りしていきます。
聖路加国際大学看護学部 学士編入試験 傾向と対策
聖路加国際大学看護学部の学士編入試験は、例年「英語」と「小論文」の2科目が課されます。
看護学の専門知識だけでなく、幅広い教養と論理的思考力、そして英語力を総合的に評価されるのが特徴です。
1.英語試験の傾向と対策
英語試験は、語彙・文法問題と長文読解問題の二部構成が定着しています。
出題形式の概要
● Part I:語彙・文法問題
○ 空欄補充形式で、適切な単語や句、文法的に正しい表現を選ぶ問題が出題されます。
○ 基本的な語彙力、熟語、文法知識、そして文脈に合った表現を選ぶ力が問われます。
● Part II & III:長文読解問題
○ 主に2つの異なるテーマの長文が出題され、それぞれ内容に関する設問に 答える形式です。
○ 質問は、本文の主要な情報、特定の詳細、筆者の意図、または本文から読み取れる事実など多岐にわたります。選択肢の中から正しいものを選ぶ形式です。
年度ごとの大まかな問題内容
● 2023年度
○ 長文読解
■ 「World No Tobacco Day」キャンペーンとタバコ産業の環境への影響について。
タバコ生産が気候変動に与える影響や、途上国でタバコが人気な理由、キャンペーンの目標などが問われました。
■ マラウイのシングルマザーとHIV対策に関する記事。家族のHIV感染状況、医療サービスへの障壁、治療状況、PIH(Partners In
Health)の支援内容などが問われました。
● 2024年度
○ 長文読解
■ 「海藻養殖が持続可能性の次なる大きなものになる可能性」につ
いて。
■ 「職場から自宅への通勤は、単にそこに着くこと以上の意味を持つ リモートワークでは得られない通勤の心理的メリット」について。
● 2025年度
○ 長文読解
■ 「クリーンな水危機」について。地球上の水の状況や、淡水の問題点、水の重要性などが問われました。
■ 「世界的な看護師不足が『世界の健康上の緊急事態』であること」
について。看護師の離職状況、政府の投資不足、富裕国による看護師の国際的募集の実態、パレスチナの看護師への支援などが問われました。
対策のポイント
● 語彙・文法力の強化
○ 日常的に英語に触れる: 英字新聞、ニュース記事、科学記事などを読み、 様々な分野の語彙に慣れましょう。特に医療、環境、社会問題に関する専門 用語は積極的に学ぶと良いでしょう。
○ 文法書を復習する: 曖昧な文法事項や表現のルールを再確認し、正確な知 識を身につけます。特に句動詞(phrasal verbs)やイディオムは頻出です。
○ 問題演習: 語彙・文法に特化した問題集を繰り返し解き、実践力を高めます。
● 長文読解力の向上
○ 速読と精読のバランス: 大意を素早く掴む練習(速読)と、細かい情報を正確に読み取る練習(精読)を組み合わせましょう。
○ テーマの多様性に対応: 出題される長文のテーマは、地球規模の環境問題、国際保健、社会福祉、人権問題など、幅広い分野にわたります。
これらの分野に関する英語記事を日常的に読み、背景知識と語彙を増やしておくことが重要です。
○ 論理構造の把握: 筆者の主張、具体例、結論など、文章の論理的な流れを意識して読み解く練習をします。
○ 設問分析: 「本文に述べられていないこと」「正しいもの」など、設問の意図を正確に把握する癖をつけましょう。
2.小論文試験の傾向と対策
小論文試験は、与えられた資料(グラフ、表、文章など)を読み解き、それに基づいて論述する形式が一般的です。
出題形式の概要
● 図や統計データ、あるいは特定のテーマに関する文章が提示されます。
● 設問は通常2つで構成され、問1で資料の読み取りや分析が求められ、問2でその資料 を踏まえた考察や自身の意見、解決策の提示などが求められます。
● 問2では、文字数制限が厳密に設定されていることがほとんどです(例:500~600字、 250~300字など)。
年度ごとの大まかな問題内容
● 2023年度
○ テーマ: NHKの「日本人の意識」に関する世論調査結果(1973年~2018 年)。
○ 問1: 図1から読み取れる、1973年から2018年までの調査結果の特徴を4つ以上箇条書きで記述。
○ 問2: 図2(「快楽志向」と「愛情志向」を「現在中心」、「利己志向」と「正義志向」を「未来中心」として統合したデータ)をふまえて、45年間の推移を考察 し、「現在中心」と「未来中心」の回答者の割合の差が生じた原因について、 500~600字で論述。
● 2024年度
○ テーマ: 令和元年の国民健康・栄養調査の結果の一部「健康な食習慣の妨げとなる点」(年齢階級別)。
○ 問1: 図を見て、年齢階級間の比較から読み取れることを2つ、箇条書きで記 述。
○ 問2: 図をふまえて考えられる日本人の食習慣に関する課題とその背景を指 摘し、人々が健康な食習慣を身につけるために、地域社会と個人ができることについて、500~600字で論述。
● 2025年度
○ テーマ: 文化庁が令和4年に行った「国語に対する世論調査」の結果の一部 「言葉の使い方に対する意識」と「どのように気を使っているか」(年齢別)。 ○ 問1: 図1と図2をふまえて読み取れる各年齢層(2つ選択)の特徴を簡潔に記述。
○ 問2: 問1で挙げた各年齢層の特徴について、なぜそのような特徴があるのか、それぞれ250~300字で論述。
対策のポイント
● 資料読解力の養成
○ グラフや表の分析: 統計データやグラフから、変化の傾向、年代別・性別の 比較、突出した数値などを正確に読み取る練習をしましょう。何が特徴的で、 そこから何が言えるのかを明確にすることが重要です。
○ キーワードの抽出: 与えられた文章や資料から、論述の核となるキーワードや概念を正確に捉えます。
● 論理的思考力と表現力
○ 多角的な視点: 読み取った情報から、その背景にある社会的な要因、歴史 的経緯、文化的な側面などを多角的に考察する練習をします。
○ 課題発見と解決策の提示: 与えられたテーマに対して、どのような課題があ り、それに対してどのような解決策が考えられるのかを具体的に示す練習をしましょう。特に、看護学部の試験であるため、健康、医療、福祉、地域社会 との関連性を意識した考察ができると良いでしょう。
○ 構成力: 導入、本論(分析・考察)、結論(意見・提言)という小論文の基本的な構成を意識して、論理的で説得力のある文章を作成する練習をします。
○ 文字数制限への対応: 限られた文字数の中で、自分の考えを効果的かつ簡 潔に表現する訓練が必須です。無駄な表現を省き、要点を絞って記述する練習をしましょう。
● 時事問題・社会問題への関心:
○ 小論文のテーマは、日本社会の現状や国民の意識、健康、文化に関する調 査データを用いることが多いです。日頃から新聞やニュース、政府機関の白書や調査報告書などに目を通し、幅広い知識と自分なりの見解を形成しておくことが非常に有効です。
聖路加国際大学看護学部の学士編入試験は、単なる知識の有無だけでなく、多角的な視点から物事を捉え、論理的に思考し、自分の言葉で表現する力を重視しています。
計画的な準備と継続的な学習で、合格を掴み取ってください。

